(1)授業の達成目標 | 授業で得られる「学位授与の方針」要素 | ⇔ | 【授業の達成目標】 | 大学DP | 学士の称号にふさわしい基礎学力と専門的学力 | ⇔ | 大きさをもつ物体の運動を並進、回転、変形に分け、それぞれの運動を力学の基礎方程式を使って表現できるようになる。 |
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(2)授業の概要 | 実際の物体には大きさがあり、また特に人体や衣服などは大きく複雑に変形する。この授業では、学生諸君がこれまで主に学んできた『単一の質点に関する力学』を、複数の質点からなるシステム(質点系)、さらには大きさのあるもの(連続体)へと拡張する。このような「大きさ」を持った物体は、力の作用によって単に移動(並進)するのみならず,「回転」や「変形」をする。この『回転・変形』の概念について理解し、実際の問題に適用できるようにする。 『理解』に要する時間は各人の持っている基礎知識の内容やそれまでの理解度、その人なりの勉強法によってまちまちなため、各回の授業に先立って基礎的な理解度の統一が必要になる。このため、まずe-alpsで公開されたテキストに沿って基礎問題を解いてもらうことを必須とすることで、基礎理解度レベルを揃える。 各回の授業では,まず前回の演習問題を解いてもらった上で、テキストに沿った解説を加え、その後グループワークによって演習問題を解いてもらう。解説は授業に先立って基礎問題レベルの知識を身に着けていることを前提とする。さらにグループワークで互いに教えあうことによって、理解を深めてもらう。以上の目的のため、テキスト、基礎問題、応用問題、および授業中で解いてもらう演習問題や発展問題等がeALPSで公開されている。 |
(3)授業のキーワード | 相対運動 回転(質点系、重心、モーメント、慣性二次モーメント、角運動量、剛体) 変形(連続体、応力と歪、弾性体、応力場、粘性体と塑性体など、流体) |
(4)授業計画 | 1. Introduction 2. 相対運動 1 3. 相対運動 2 4. 質点系の力学 1 5. 質点系の力学 2 6. 剛体の回転 1 7. 剛体の回転 2 8. 回転のまとめ(中間試験) 9. 力と「変形」1 10. 力と「変形」2 11. 力と「変形」3 12. 力と「変形」4 13. 力と「流れ」1 14. 力と「流れ」2 15. まとめ(授業アンケート) 16. 期末試験 |
(5)成績評価の方法 | eALPS上の小テストと演習問題(中間試験含む)、および期末試験の成績で理解度を評価する。具体的には、期末試験の成績のみ(A)と、期末試験の成績に授業内の演習問題、中間試験、eALPS上の小テストの成績も加えた成績(B)のうち、良い方の評価点を採用する。
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(6)成績評価の基準 | eALPS上の小テスト、演習問題、試験では、以下のような点に注目して評価する。
A. 2個以上の質点からなる系の「相対運動」を表現するための基礎となる、 「重心」や「移動・回転する座標系」という概念が理解できているか? B. 多数の質点が同一の角速度で円運動する「質点系の回転」 という概念が理解できているか? C. 回転モーメントおよび角運動量の概念が理解できているか? D. 慣性2次モーメントが求められるか? E. 質点系および剛体の「等角加速度運動」が理解できるか? F. 応力と歪の概念が理解できているか? G. 応力場と回転・変形作用の概念が理解できているか? H. 弾性体と粘性体の概念が理解できているか? I. レイノルズ数および層流・乱流の概念が理解できているか? J. 流体抵抗を表す法則が理解できているか?
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(7)事前事後学習の内容 | 各回の授業に先立ち、各自がeALPSにアップロードされている各回の授業テキストを自己学習し、授業の重点をノートにまとめることで、授業の概要を理解する。さらにeALPSに掲載されている各回の基礎問題および応用問題を解き、理解できていない点(授業内で理解すべき点)を明らかにしておく。また、授業内で行う演習問題も予め解いてみる。特に基礎問題は受講のために必須の知識なので、必ず授業前に解く。
授業では、予習時に理解できなかった点を確認し理解する。理解できなかった場合は質問する。さらにあらかじめ公開されている演習問題をグループワークにより解く。グループメンバーと相互に教えあうことで、自らの理解を言語化・客観化でき、体系的な知識として身に着くので、積極的な参加が望まれる。
ただしこのためには、事前にグループメンバーが共通の基盤知識を持っていることが前提になる。このためには、各人が問題に目を通し、事前に考えておくことはもちろんだが、さらにメンバー全員が基礎問題レベルまで理解していることが前提となる。すなわち、他のメンバーに教える場合、教えられる場合、いずれでも、基礎問題レベルの理解を共通基盤として議論を進めて欲しい。
授業後はeALPSに公開される演習問題の解答例を参考に、授業内に行った演習問題を自力で解き直し、必要に応じて授業テキストおよびノートを読み返して知識を定着させる。さらに、予習時に解けなかった場合は、次回の予習も兼ねてeALPS上の応用問題を解く。
上記の様に、この授業では『自ら学ぶ』力を身に着けるため予習を重視し、また授業の理解とコミュニケーション能力の向上を目的に、積極的にグループワークを取り入れる。授業中の演習時間および予復習の過程で、まずは自ら学ぶ力と自分の勉学スタイルを確立し、さらに相互に教え・教えられることを通して、各回の授業内容を活きた知識として身に着け、自らの力で問題を解く能力と、その内容を的確に相手に伝えるコミュニケーション能力を身に着けて欲しい。ここで身についた「自ら学ぶ力とスタイル」「教え方(説明力)」、「教わり方(情報収集能力)」は、実社会で必ず役に立つものと信じる。
※この授業は90時間の学修を必要とする内容です。従って,60時間以上の時間外学習が必要となります。 |
(8)履修上の注意 | 授業は高等学校までの数学(特に微積分)と物理、大学入学後に履修した力学Iの知識を基礎とし、理解のために微積分学および線形代数学の知識を必要とする。もしこれらの理解が十分でない場合は、特に以下の点を事前に確実に身に付けておくこと。
0. 次元と単位(物理量の次元とSI単位系) 1. エネルギー保存則 2. 運動方程式(F=ma)と運動量保存則 3. 等加速度運動 4. 円運動
また、内容は広範にわたり、特に「変形」では本質的にかなり高度な内容までを含む。授業の聴講のみで理解するのは困難であり、授業に先立つ予習と授業後の復習が必須になる。 上記の「事前事後の学習内容」を参考に、学習を進めてほしい。特に授業前の予習が重要になる。自らテキストを読み、問題を解くことで自らの理解度を把握し、不明点を自ら解決していくスタイルを身に着けてほしい。 |
(9)質問,相談への対応 | 原則として授業中もしくは授業直後に対応する。 またe-mail(yokoshi@shinshu-u.ac.jp)での質問も受け付ける。
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(10)授業への出席 | 全ての回に出席することを前提とする。 授業への出欠は、毎回行う演習問題への回答提出で確認する。 さらに随時、口頭での出欠もとる。 |
(11)授業に出席できない場合の学修の補充 | eALPSで公開するテキストに沿って各自で自習していただくことを原則とする。ただし、「学修の補充の対象とする事由」に該当する場合を含め,授業に6回以上欠席した場合は授業の達成目標到達に至る教育の質を担保できず,単位認定ができない。
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【教科書】 | 授業ははeALPSで公開するテキストに沿って進める。
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【参考書】 | 前半(相対運動・回転)は、力学Iで使用した教科書が参考になる。 後半については、 木田重雄著,「いまさら流体力学?」,ISBN 4-621-03964-4,丸善,1994年,\1,300 松信八十男,新物理学ライブラリ3「連続体力学」, ISBN 4-7819-0773-3, サイエンス社,1995年,\2,200 松信八十男, 「変形と流れの力学」, ISBN 978-4-254-13582-3, 朝倉書店, 1981年, \3,600 など。 |
【添付ファイル】 |
なし |