(1)授業の達成目標 | 授業で得られる「学位授与の方針」要素 | ⇔ | 【授業の達成目標】 | 大学DP | 的確に情報を収集し,理解し,発信する力 | ⇔ | 脳を“科学する”-観察し、問い、考え、探り、わかる-ことで、科学の考え方を身に付ける。 |
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(2)授業の概要 | ① 脳ゼミのねらい 〈 知るよりわかる 〉 「脳の不思議を探るゼミ」のねらいは、脳について“知る”ことではありません。 「脳の不思議を探るゼミ」のねらいは、じぶんで“科学する”ことです。
〈 “科学する”とは? 〉 それは、まず日常をじっくり観察し「なんで○○○は□□□なのだろうか?」というよく観察してみることで見つかる親近感が湧くナゾをじぶんで見つけ(観察により問いを見つける)、その「なんで?」を解決しうる道筋を考え出し(仮説をつくる)、その立てた仮説を実験により確かめてみて(検証)、探り当てたじぶんなりに納得できる“わかる”を得る(正解ではなく納得解を見つける考察)。この流れが、“科学する”ということ。
このように“科学する”-観察し、疑問を見つけ、その疑問を解き明かすために考え、探り、自分なりに「なぜ?」がわかる-ことで、科学の考え方を身に付けていきます。
脳についての知識をただただ蓄えることは脳ゼミのねらいではなく、脳ゼミでは実際にゼミ生がじぶんだけで“科学する”を実践することのみを大事にします。つまり、“科学する”の主体は、ゼミ生自身です。このように、脳ゼミで得られることは、“科学する”という体験そのものです。
脳は、知識をただただ保管しておくだけの倉庫なんかではなく、いろいろなものをつくり出す工場です。脳への好奇心をきっかけに、その不思議について、脳を使い考えることで、考えることの愉しさを味わいましょう。「知らなきゃ解けない」問題はあまり面白くなく、「考えれば解ける」問題こそホントウは面白い。 -学問は、本来、勉強なんかではない。この世でいちばん楽しい遊びなんです。
② 脳ゼミの概要 ゼミでは脳を“科学する”ということを、一つずつ丁寧にゆっくり実践していきます。
・“科学する”とは何かを学ぶ。- 観察する / 疑問「なんで?」を見つける / 仮説をつくる / 実験する / 考え探り解きわかる
・脳を“科学する”ために、脳の観察を通じて、脳の基本的なはたらきや特徴を理解する。
・脳の不思議にまつわる様々なトピック(下記)をネタに、「なんで?」という疑問や「どうして?」という関心を受講者自身で、時にはみんなで(大胆且つ独創的な発想を交えたグループワーク)、じっくり考えつくす。
・“科学する”のなかの「仮説をつくる」「実験する」をグループで実施し、検証結果及び考察を研究発表する。
・脳についての自分の疑問「なんで?」をじぶんで“科学する”。(科学探究課題:個人研究及び個人研究発表) |
(3)授業のキーワード | 科学する 脳 ヒト 観察する 疑う 考える 探る わかる グループワーク フィールドワーク(実験や調査) |
(4)授業計画 | ・科学するー科学探究に向けて 1. カガクするのはじまり 2. 数理のミカタ (1)-観察の練習 1 ちゃんと見てしっかり疑う 木々の中の数列 3. 数理のミカタ (2)-観察の練習 2 ちゃんと見てしっかり疑う 植物生理学 4. 数理のミカタ (3)-観察の練習 3 ちゃんと見てしっかり疑う フライドチキンの解剖学 5. 数理のミカタ (4)-観察の練習 4 ちゃんと見てしっかり疑う 走れメロスを解く 6. 数理のミカタ (5)-目には見えないものを可視化する キノコの成長と微分 7. 数理のミカタ (6)-自然と最小 最短経路問題をシャボン玉で解く 8. 数理のミカタ (7)-勝手に雑に想像しない 丁寧に一つずつ想像する 9. 数理のミカタ (8)-確率は面積 モンテカルロ法 10. 数理のミカタ (9)-統計:確率分布の数理 キノコの山はホントウに山なのか? 11. 数理のミカタ (10)-アルゴリズムの抽出 10回、100回、1000回繰り返す 12. 数理のミカタ (11)-数理とパターン(数理生物学) いきものの模様の数理 13. 数理のミカタ (12)-説明の道をつくる 仮設形成とは? 14. 数理のミカタ (13)-確かめてみる 実験するための準備 誰がホントのシンデレラか? 15. 数理のミカタ (14)-バカデミーのススメ 「じゃないほう」にこそ価値がある ・脳を科学する 10. 脳を解剖する-場とはたらき 11.ー15. 脳を観察する-中をのぞいてみる・数えてみる・計ってみる… 11.- 15. 脳の不思議にまつわる様々なトピックを取り上げる( 以下参考 ) 16. あなたとわたしとカガクーホモ・サピエンス・サピエンスからのカガクオシ 授業アンケート
トピック 1. おっちょこちょいな脳・騙される脳 トピック 2. 思い込みする脳-バカは風邪ひかないワケ トピック 3. じぶんらしさの脳科学-脳と性格 トピック 4. やわらかな脳-閃きのしくみ トピック 5. 脳のなかの感覚 トピック 6. 色いろと脳-わたしとあなたは同じ色を見ているの? トピック 7. なんとなくなわたし-疑われはじめた自由意志 トピック 8. 混ざる感覚-共感覚 トピック 9. 芸術する脳-アール・ブリュット・脳のなかの美術館・絵を読む トピック10. 音を楽しむ脳-脳のなかのピアノ・音痴は治るのか? トピック11. 覚える脳そして忘れる脳 トピック12. 天才と脳-サヴァン症候群 トピック13. 脳科学と学習と教育と-神経教育学について・早期教育の意味 トピック14. つながる脳-「わたし」というナゾ「あなた」というミステリー トピック15. 女と男と脳-好みってなに?・運命の赤い糸ってあるの?・女と男のすれ違い トピック16. 恋する脳-脳科学的恋愛必勝法・恋と愛と脳・ホルモンコミュニケーション トピック17. 脳と人工知能-AIにAI(アイ)を感じるか?・ヒトとAIの境界・知能と知性 トピック18. ドラえもんの脳科学-脳科学のミライの道具 トピック19. 脳と栄養-うつとその予防 トピック20. 夢見る脳
ゼミ生の興味や関心を参考にしながら、上記の1.~20.から5つ(予定)を選びます(残ったトピックは後期「脳の不思議をもっと探るゼミ」にて取り扱う予定)。どのトピックを選ぶかは、ゼミ生全員で決めていきます。 |
(5)成績評価の方法 | 脳ゼミは、「知る」よりも「わかる」を重視するので、どれだけ脳について知っているかという知識量を問うテストは行いません(ので知識量を評価することもしません)。 脳ゼミでは、どれだけ“科学する”を実践できているかのみを評価します。
そのため、成績評価は、以下の判定材料にて総合的に評価します。
1. 科学探究課題:個人研究及び個人研究発表…50ポイント 2. 実験及び検証結果発表(グループ)…20ポイント 3. グループクイズ…30ポイント |
(6)成績評価の基準 | 自分で観察し見つけた疑問「なんで?」について、仮説をつくり、実験し、考え、探り、自分なりの“わかる”を得る(=科学する)ことが、 まあまあできていれば「水準にある(可)」 よくできていれば「やや上にある(良)」 より優れてできていれば「かなり上にある(優)」 より秀でてできていれば「卓越している(秀)」 とみなします。 |
(7)事前事後学習の内容 | ・“科学する”(科学探究)を継続的に地道に行う。 “科学する”ことは、講座内に限らず、日常的にいつでもどこでもできることなので、講座外でも常日頃から“科学する”姿勢を身に付けてほしい。
※この授業は90時間の学修を必要とする内容です。従って、60時間以上の時間外学習が必要となります。 |
(8)履修上の注意 | ・毎年度、受講希望者が定員を大幅にかなり相当超えます。初回オリエンテーション (2部制) にて抽選による受講者決定について説明をしますので、脳ゼミを希望する方は“必ず”初回オリエンテーションに参加し、科学することのおもしろさを実感してから、受講を決めてください。その理解を前提に、抽選を実施し、受講者を決定いたします(初回オリエンテーションに参加した方を対象に、抽選にて受講者を決める予定です)。
※ なお、初回オリエンテーションにあふれて希望しても参加できなかった方は、抽選日(4月14日金曜日)にeALPSにアクセスしてみてください。参加できなかった方向けに、当日用に脳ゼミについての説明会のお知らせを掲示します。初回オリエンテーションにあふれて参加できなかった方は、そちらに参加し、受講するかどうかを決めることをお勧めします。
・脳ゼミは、脳についての知識をただ伝え、それらをただ聴くだけのような講座形態は取りません。ゼミ生は、ゼミ中はいつでもわかるまで考え、解けるまで探り、時にはゼミ生同士で議論をし、時にはゼミ生全員で探り深めていく「参加型」の形式を取ります。このようにゼミ生はゼミの隅々までに主体的に参加することが求められます。知的好奇心が旺盛で知的興奮に貪欲な方の参加を期待します。
・“科学する”というといわゆる理系的な印象を持つかもしれませんが、いわゆる“文系”の方でもなんら問題ありません。脳やヒトに少しでも興味や関心があれば、その点は心配せずにどなたでも受講してください。
・あまり馴染みのない脳の専門用語があり多少尻込みするかもしれませんが、それら専門的なことを既に知っている必要はありません。ゼミのねらい“科学する”に必要なことはゆっくりと解説しひとつずつ確認しながら進めていきますので心配しないでください。 |
(9)質問,相談への対応 | 不明な点や疑問があれば遠慮せずに尋ねてください。分からない点や不安を残したまま進むのはよくありません。質問や相談は、研究室( 共通教育第1講義棟 南校舎3階 )にて、または e-mail・電話にていつでもオープンに受け付けます。 およその目安として、「月曜 4:30~」「火曜 1:00~」「水曜 4:30~」 「木曜 4:30~」「金曜 4:30~」はだいたい研究室にいます。
e-mail: k-ariji@shinshu-u.ac.jp phone: 0263-37-3053( 研究室直通 )または内線7213 |
(10)授業への出席 | 授業は全ての回に出席することを基本とします。 |
(11)授業に出席できない場合の学修の補充 | 「学修の補充の対象とする事由」により出席できない場合は、学習の補充の指示をしますので共通教育窓口に申し出てください。 |
【教科書】 | 教科書は用いません。 ゼミにて配布する資料やスライド等が“教科書”となります。 ゼミでは資料の他、スライドや映画や映像などの視覚資料も積極的に活用します。なお、資料や映像、スライドなどはe-ALPSのコースページにも掲載します。 |
【参考書】 | ・カガクノミカタ (映像番組 Eテレ) NHK for School ・2355 夜ふかしワークショップ (映像番組 Eテレ) ・地球外少年少女 (磯 光雄) ・「はじめアルゴリズム」(三原 和人)講談社 ・「チ。ー地球の運動についてー」(魚豊)小学館 ・「解きたくなる数学」(佐藤 雅彦・大島 遼・廣瀬 隼也)岩波書店 1,980円 ISBN: 978-4000063395 ・「このスプーンは、結構うるさい」 (佐藤 雅彦 + ユーフラテス) 小学館 2,750円 ISBN: 978-409480365 ・「日常にひそむ数理曲線」 (佐藤 雅彦 + ユーフラテス) 小学館 2,980円 ISBN: 978-4094803105 ・「新しい分かり方」 (佐藤 雅彦) 中央公論新社 2,052円 ISBN: 978-4120050084 ・「考えるカラス―「もしかして?」からはじまる楽しい科学の考え方」 (川角 博) NHK出版 1,080円 ISBN: 978-4140113363 ・「世界で一番美しい切り絵人体図鑑」 (エレーヌ・ドゥルヴェール ) X-Knowledge 3,080円 ISBN: 978-4767823669 ・「美しい生物学講義 感動する生命のはなし」 (更科 功) ダイヤモンド社 1,760円 ISBN: 978-4478108307 ・「キリンのひづめ、ヒトの指―比べてわかる生き物の進化」 (郡司 芽久) NHK出版 1,650円 ・「世界一ゆかいな脳科学講義: 頭の中をぐるぐるめぐる11日間」 (アンジェリク・ファン・オムベルゲン) 河出書房新社 2,090円 ISBN: 978-4309254173 ・「芸術と科学のあいだ」 (福岡 伸一) 木楽舎 1,620円 ISBN: 978-4863240933
他にも参考になるものはゼミにて随時紹介していきます。 |
【添付ファイル】 |
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