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開講年度 2023年度 登録コード G2B40703
授業名 明日を生きるための心理学 リスク社会と防災を学ぶ【EA】
Psychology for your future
担当教員 菊池 聡 副担当  
講義期間 前期 曜日・時限 集不定 講義室   単位数 2
対象学生 授業形態 講義 備考  
授業で学べる「テーマ」 地域運営、防災減災
全学横断特別教育プログラム ローカル・イノベーター養成コース、環境マインド実践人材養成コース、ストラテジー・デザイン人材養成コース、ライフクリエイター養成コース
注意)「曜日・時限」「講義室」等は変更される場合がありますので、「キャンパス情報システム」や「掲示」等で確認してください。

(1)授業の達成目標
授業で得られる「学位授与の方針」要素【授業の達成目標】
大学DP
学士の称号にふさわしい基礎学力と専門的学力リスク事態において、的確に情報を収集・吟味・評価し、合理的な推論を進めて、最善の意志決定につなげられる基礎学力とクリティカルシンキングの技術を身につけることができる。
(2)授業の概要本授業は、信州大学授業プラットフォームeALPS上に掲載されるオンデマンド型映像学習教材とオンライン小課題を用いた【EA】型のオンライン授業である。オンデマンド型とは、リアルタイムのライブ授業ではなく、サーバー上の教材を一定期間内であれば任意の時間に学習できる自由度の高い授業方法である。
本授業のテーマは、私たちが身近なリスク情報を適切に評価し、有効な意志決定ができるようになることにある。
大きくは自然災害の発生から日常生活で起こる失敗まで、さまざまなリスク状況は常に私たちの生活の場に生じる。こうしたリスクに関する情報を適切に認識し、評価できるようになるために役に立つのが、人の思考過程を分析する認知心理学の広汎な研究成果である。本授業では、自然災害への対応や、人間関係のトラブル、情報判断の誤り、経済的な損得、身近な失敗など、大学生が人生の中で関わる各種のリスクの例を取り上げ、それらに心理学的な面から対処するための知識を獲得していく。また、後半ではこうしたストレスフルなリスク状況下で、前向きな心理状態を維持してポジティブな生き方をしていく方法についても考える。
自然豊かな長野県は、地震や火山噴火、風水害といったさまざまな災害リスクの高い地域でもある。本授業では、信州大学地域防災減災センターの協力のもと、学生自身が防災や減災とどのようにつきあうべきかに関する特別講義も組み込んでいく予定である(ゲストとして登壇する専門家は、シラバス作成時点で未定のため、特別授業の予定は組み込んでいない。ゲスト講義がある場合は、授業計画を小修正する)。
(3)授業のキーワード認知心理学 心理学 リスク認知 防災 減災 ヒューマンエラー ポジティブ心理学 意思決定 認知バイアス レジリエンス
(4)授業計画通常の講義と同じように、週に1回以下のオンデマンド教材がサーバー上に掲載され、次いでオンラインの小課題が実施される。
1. イントロダクション 災害リスクを例に生活の中で起こりうる現実のリスクと心理学のかかわりの概観を知る
2. 不確実な状況下でのリスク認知のバイアスについて基本的な知識を得る
3. 人の思考バイアスに関する知識を獲得し、直観的思考の歪みについて実例から把握する
4. 確率判断のバイアスと、それがもたらす意思決定の歪みにについて例題をもとに理解する
5. さまざまなヒューリスティックの働きについて、例題をもとに理解する
6. プロスペクト理論の概略を学び、意思決定のバイアスに関する知識を応用できるようにする
7. ヒューマンエラーを認知心理学のモデルから分類し、それぞれのメカニズムについて理解する
8. スリップやミステイクなどの具体的な失敗例をもとに、エラーの分類と対応法の概略を理解する
9. 認知バイアスとヒューマンエラーについて、自己診断し、リスク事態を回避できるようにする
10. 身近にあるナッジやわかりにくい環境について自分で発見できるようにする
11. 地域防災減災センター特別ゲスト講義 (内容・授業の回数は未定)
12. 災害やストレスを乗り越える逆境力(レジリエンス)の考え方を知る
13. 楽観的にストレスを乗り越え、モチベーションアップのための心理学的な知識を獲得する
14. 落ち込まないためのマインドコントロールが実践できるようにする
15. 情動二要因理論をもとに、ポジティブな生活を実現できるようになる 授業アンケートの実施

上記は暫定的な予定であり、防災減災センターのゲスト講師の特別講義を数回実施する計画があるが、シラバス作成時点でまだ未定のため、授業順序や個別の内容は変更される可能性がある。
(5)成績評価の方法初回をのぞく14回の授業全てにおいて、授業内容とかかわる小課題(小テスト)を授業終了後にeALPS上で実施し、これらの評価を合計した点数で成績を評価する。期末試験は行わない。
小課題は、選択肢式の小テストや記述式レポートなどからなり、リスク情報を適切に認識する力をはじめとした、各授業単元で説明した目標を達成することができているかどうかを評価する。
何らかの都合(病気や忌引き、インターネット回線トラブル、単なる受験忘れなど、すべての事情を含む)で、個人がテストを受験できないことも想定し、あらかじめテスト1回分の満点得点を基礎点として与える。小テストが受験できなかった場合、この得点をもって充当させること。個別に再テストなどの機会は設定せず、再テストなどの申し入れには応じられない。
(6)成績評価の基準授業期間を通じて実施された小課題の成績を合計して100%とする。現代のリスク社会を生き抜く上で、授業で直接扱った内容を越えて、広くリスク認知への理解と自分が取るべき対処行動の指針が確立していれば「卓越している」と評価する。同様に、授業が扱ったすべての内容に関して、十分にリスクや災害への知識を獲得し、自分の生活に応用できる技術が確立していれば「かなり上にある」と評価する。授業で扱ったリスクや災害に関する重要な部分についての理解が形成されていれば「その水準にある」と評価する。
(7)事前事後学習の内容毎回の授業終了後にオンラインでの小課題が実施されるが、小課題への回答までに一定の時間間隔を設けるので、その間に授業内容の復習を行って、重要事項を体系的に整理・理解しておくことが事後学習として必要になる。また、それら課題のうち、少なくとも1回は、身近なリスク事態について探索するレポート課題となる予定であり、授業での指示に従って授業時間外に各自でフィールド調査が必要とする。
授業の進行にあわせて、ブロックごとに読んでおくべき資料や文献などを課題として指示する場合がある。

※この授業は90時間の学修を必要とする内容です。従って,60時間以上の時間外学習が必要となります。
(8)履修上の注意授業は「集不定」開講となっているが、毎週一回eLearning映像教材が利用可能になり、その後、原則として一週間以内にオンラインの小課題が実施される。一週間単位で、授業一回(教材学習から小課題まで)のサイクルで進行するので、他の通常授業と全く同じように週一回の授業があるものとして計画的に履修すること。
オンライン小課題は、その週の授業内容と、その一回前の授業内容から出題されるので、教材やノートなどを十分に復習して、課題にのぞむように。
一週間ごとの教材提示と小課題実施スケジュールは、授業初回に解説する。

本授業は、信州大学地域防災減災センターと連携して行われるため、センターとの調整により、授業内容や順序等に変更が生じる可能性がある。授業期間中はシラバスの記載のみではなく、eALPS等での連絡を確認しつつ受講すること。

また、この授業では、半期の授業期間を通して、学生の防災減減災意識やリスク対処行動、科学リテラシーなどがどのように変化するかを観察する実証研究が行われる。そのために、授業では継続的なアンケート調査への記入を求め、他にも課題やレポートへの回答やオンライン討議のログなどもデータ分析に利用されるが、これらについて事前に学生の承諾を求める。これらのデータ利用は信州大学の研究倫理委員会の認可を得て行われ、成績評価とは関係なく、個人を特定しての公表などは一切行わない。授業内容にも影響を与えない。
学生が提出した優秀なレポートや改善点があるレポートなどは、匿名化した上で、参考資料や教材として他の学生にも紹介・開示することがある。
(9)質問,相談への対応信州大学LMS・eALPS上の専用コースに「バーチャルオフィスアワー」のシステムを設置し、そこで質問や相談を受け付ける。このシステム上で意見交換を行い、授業内容についての質問やディスカッション内容がすべての受講生に共有できるようにする。
(10)授業への出席1回の授業ごとに、eALPS上の教材を学習して小課題に解答することで、その回の授業に出席したと記録される。
(11)授業に出席できない場合の学修の補充eALPS上に学習教材はすべてアップロードされており、当該の授業週以降のいつでも学習可能なようになっており、学習の補充に供するものとする(ただし、小課題には規定の期間以外はアクセスできない)。
【教科書】指定しない
【参考書】ダニエル・カーネマン(著)村井章子(訳),「ファスト&スロー あなたの意思決定はどのように決まるか?(上)(下)」,978-4150504106,早川書房,2014,
ドナルド・ノーマン(著),「誰のためのデザイン? 増補改訂版 認知科学者のデザイン原論」,978-4788514348,新曜社,2015.
広田すみれ・増田真也・坂上貴之,「心理学が描くリスクの世界 行動的意思決定入門 第三版」978-4766423341,慶應義塾大学出版会,2018,
【添付ファイル】 なし



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