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     市民開放授業  
開講年度 2023年度 登録コード G2B40407
授業名 中世英語文献学入門
An Introduction to Medieval English Philology
担当教員 伊藤 尽 副担当  
講義期間 後期 曜日・時限 水2 講義室 共通教育52講義室 単位数 2
対象学生 授業形態 講義 備考  
授業で学べる「テーマ」 芸術文化、多文化協働
全学横断特別教育プログラム グローバルコア人材養成コース ・ BASIC(国際理解)
注意)「曜日・時限」「講義室」等は変更される場合がありますので、「キャンパス情報システム」や「掲示」等で確認してください。

(1)授業の達成目標
授業で得られる「学位授与の方針」要素【授業の達成目標】
大学DP
学士の称号にふさわしい基礎学力と専門的学力ヨーロッパ北西部の文化の基底に存在する価値観を理解し、21世紀の日本にいる自分の環境やメディアと比較し、両方の特性を人に説明し、発展的に貢献するための方策や利点を発表できるようになる
(2)授業の概要英語を知っていても中世に書かれた英語を普通に読むことは出来ない。普段は知ることのできないような中世英語文献というものが、21世紀の日本人にも実は身近なものであるということを知る。英雄・謎々、恋愛ロマンス、神話、超自然、想像上の生きもの、西洋中世の人々の衣服、生き方、考え方を知って、それが実際に語られた世界を理解する。時代を超え、地理的な制約も超えて、人間が文字とその理解を通じて知り合い、判り合うことが出来る可能性を見出して欲しい。
(3)授業のキーワード文献学, 中世北欧, 中世文学, 伝説, 神話, 歴史, 古英語、中英語, ファンタジー文学, 受容研究
(4)授業計画1:イントロダクション 中世イギリスとは何かを知る
2:中世英語文献とは何かを知る:次回の理解の課題が出る
3:中世英語文献を記した者、用いた者を知る
4:中世英語文献研究について知る((ファンタジー作品『指輪物語』作者JRRトールキン)
5:古英語英雄叙事詩『ベーオウルフ』とは何かを知る(映画『ホビット』を題材として)
6:古英語英雄叙事詩『ベーオウルフ』の発見と受容について考える
7:古英語韻文を読む『謎詩』の伝統を使って、問題を解く
8:中世前期の恋愛感情の表現について考える
9:中世前期のイギリス文献(『アングロサクソン年代記』)の意味を考える
10:中世後期の始まりについて知る(何故中世前期と後期という分け方をするのか)
11:中世北欧文献学と北欧神話との関わりについて
12:アーサー王とは何か、ロマンスの21世紀的意味について考える
13:円卓の騎士の1人ガウェイン卿の罪と倫理観について考える
14:中世英語ロマンス詩『ガウェイン卿と緑の騎士』という作品について
15:総論(時間があれば『オルフェオ』について考える),授業アンケート
小テストのない日も、必ずリアクションペーパーに小さな課題が与えられます。その日に聴いたこと、考えたことをまとめる力を見ます。
(5)成績評価の方法時間も空間も隔たっている時代と場所で語られた内容を聞き、それらが自分たちとどのように関わりを持つのかを考える機会として、課題とリアクションペーパーを毎回提出します。ただ話を聞くだけでなく、自分で調べ、調べたことに基づいて、必ず論拠を示しながら自分の考えをまとめることが、求められます。
言葉で考え、言葉を記して、自分の考えをまとめる力を評価の対象とします。
学期末課題はレポートとします。
課題は「本講義で扱った作品や人物の中からひとつを選び、それについてトピックをひとつに絞って調べたことを報告しなさい」
例「クヌートル王の統治について」「ガウェイン卿の罪について」「『ベーオウルフ』とトールキンの作品の影響関係について」など
毎回の課題を50%、期末課題を50%の比率で換算し、総合評価とします。
(6)成績評価の基準1.授業の中で知ったことに基づき、自分の考えを論拠とともに論理的・客観的に述べられるとき基準にあると見なします。
2.授業以外の場所で調べたことも含めて、授業の内容を発展させ、自分の考えを論拠とともに論理的・客観的に述べられるとき、やや上にある、と見なします。
3.2で書かれたことを踏まえた上で、自分の周囲の事柄と関係づけることが出来たとき、かなり上にある、と見なします。
4.3で書かれたことを踏まえた上で、批判的・客観的に自分の論への反論も論駁出来れば卓越している、と見なします。
(7)事前事後学習の内容参考文献を示すので、図書館で必要な書籍を借り出し、その内容を事前に読んでおくと、授業の理解が容易になります。一方、復習は、受講した授業へのリアクションペーパーの記述で充たします。

※この授業は90時間の学修を必要とする内容です。従って,60時間以上の時間外学習が必要となります。
(8)履修上の注意授業に出席するだけでは、授業で語られる内容は理解できないでしょう。必ず予習をしておくことが求められます。具体的には、固有名詞(人名、地名、歴史的事件)が何を指すのかを知っておくことが重要です。
そのための予習なので、図書館やインターネットを駆使して、知識の地平を広げてください。
参考文献は大学の勉強の核となります。慣れないと、最初は読むのに時間がかかるでしょうが、この授業の参考文献は基本的に物語になっていますので、楽しんで読むのがコツです。学期のはじめに図書館の中を歩いて、参考文献がどこに配架されているのか、それに関連する本がどんなところにあるのかを散歩しながら見て回ることを勧めます。
(9)質問,相談への対応質問は、基本的にe-ALPS内のフォーラムで受け付けます。
それ以外の質問・相談はオフィスアワーで対応します。
オフィスアワーは、木曜日の昼休み(12:10-13:00)です。研究室の場所は人文棟4階英語学資料室の前です。
(10)授業への出席授業への出席は7割を満たすことを基準とします
(11)授業に出席できない場合の学修の補充毎回、授業資料をe-Alpsにアップロードしているので、出席できない場合も授業資料をダウンロードして読み、自習やフォローアップに活用することを可能とします
【教科書】毎回プリントを配布しますので、それらを必ずファイルに入れるなどして整理しておいてください。
【参考書】J. R. R. トールキン著、沼田香穂里訳『J. R. R. トールキン: 世紀の作家』9784566023840, 評論社, 2015.
岡本広毅、小宮真樹子共編『いかにしてアーサーは日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか〈アーサー版〉: 変容する中世騎士道物語』9784909710055, みずき書林, 2019.
安東伸介・岩崎春雄・高宮利行編, 『厨川文夫著作集』, 上下巻, 金星堂, 1981.
忍足欣四郎訳, 『中世イギリス英雄叙事詩 ベーオウルフ』, 4-00-3227514,岩波書店, 1990.
J. R. R. トールキン著、瀬田貞二訳『ホビットの冒険』上下巻 岩波少年文庫, 2000.
リチャード・バーバー著 高宮利行訳, 『アーサー王:その歴史と伝説』, 4-487760054, 東京書籍, 1991
高宮利行著, 『アーサー王伝説万華鏡』, 978-4120024023, 中央公論社, 1995.
高宮利行著, 『アーサー王物語の魅力:ケルトから漱石へ』, 4-879635448, 秀文インターナショナル, 1999.
唐澤一友著, 『アングロ・サクソン文学史(韻文編)』, 4-88713-533-,5東信堂,2004.
唐澤一友著, 『アングロ・サクソン文学史(散文編)』, 978-4-88713-8520, 東信堂, 2008.
高宮利行、松田隆美編, 『中世イギリス文学入門:研究と文献案内』, 978-4841904901, 雄松堂出版, 2008.
「ガウェイン」詩人 池上忠弘訳『サー・ガウェインと緑の騎士』, 978-4881252239, 専修大学出版局, 2009, 3400円.
桜井俊彰著, 『イングランド王国前史:アングロサクソン七王国物語』, 978-4642-057080, 吉川弘文館, 2010.
成蹊大学文学部学会編『探求するファンタジー:神話からメアリー・ポピンズまで』成蹊大学人文叢書7. 風間書房, 2010.
ダニエル・ドナヒュー著 伊藤盡訳, 『貴婦人ゴディヴァ:語り継がれる伝説』, 978-4766418590, 慶應義塾大学出版会, 2011.
菊池清明訳, 『中世イギリスロマンス ガウェイン卿と緑の騎士』, 978-4861105791, 春風社, 2017.
中世英国ロマンス研究会訳『中世英国ロマンス集』 978-4784100811, 篠崎書林, 1983.
中世英国ロマンス研究会訳『中世英国ロマンス集 第二集』978-4784104536, 篠崎書林, 1986.
【添付ファイル】 なし



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