(1)授業の達成目標 | 授業で得られる「学位授与の方針」要素 | ⇔ | 【授業の達成目標】 | 大学DP | 的確に情報を収集し,理解し,発信する力 | ⇔ | ・モノがどこから来て、どこへ行くのかを具体的に述べることができる。
・グループワークにおいて、自主的なテーマ設定や積極的な発言、相手の意見の傾聴ができる。
・他人や地球をできるだけ傷つけない試みや実践と関わっていく糸口を示すことができる。 |
|
(2)授業の概要 | 私たちは日々の暮らしの中でグローバル化の恩恵を享受しています。スーパーに行けば、遠く離れた国々の食材を手にすることができるし、インターネットで海外のさまざまなものを取り寄せることもできます。とりわけ日本人は、自分の身体を支える物質的条件を大きく国際的な関係に依存しています。しかし、私たちの関心や理解はモノの移動の大きさに比べて、十分な広がりをもっているでしょうか。 この問いに対して、さまざまなモノを切り口として、それらがいったいどこから来て、どこへ行くのかを把捉しようという試みがあります。特定の産物の生産・流通の歴史を紐解きながら、モノにつながる人びとの関わりを明らかにする「モノを辿るアプローチ」です。モノの売り買いを通じて、会ったことのない遠くに離れて暮らす人たちと私たちはつながっています。このゼミでは、消費者の関心や想像力を広げるとともに、原産地の環境や生産者・労働者の暮らしを改善する知恵や方法論を探究します。 受講生はそれぞれ関心のあるモノを選びます。まずはそれについて文献資料にあたり、その原料採取や生産、流通、消費に関わる概要を報告します。調査の方法としては、各種文献やインターネットの参照のほか、モノの売り買いの現場の観察や関係者への聞きとりを行います(メールや電話での聞きとりも可とします)。また、各報告に対して質疑応答を行います。出席者は必ず発言してください。 |
(3)授業のキーワード | モノを辿るアプローチ、モノ研究、地球環境、グローバル・コモディティ、バリューチェーン、自由貿易、食糧、資源、エネルギー、平和、紛争、つくる責任、つかう責任、環境マインド、グループワーク
|
(4)授業計画 | 1回目から3回目まで、ガイダンスを含め講義を行います。担当教員がこれまで関心を寄せてきた熱帯産のモノの事例を紹介します。その後、受講生は各自でモノを1つとり上げて調べたことを報告します。
1. イントロダクション 2. 「鶴見スクール」とは(教員による解説) 3. 沈香の事例(教員による解説) 4.各人のテーマや事例調査のための準備・検討 5~14. 各人のプレゼンと質疑応答 15. 報告書の作成、授業アンケート |
(5)成績評価の方法 | 授業における参加(発言と協働)(50%)とレポート(50%)で評価します。 |
(6)成績評価の基準 | レポートの評価は、(ⅰ)授業の内容を正確に理解し、(ⅱ)論理的に文章が構成され、(ⅲ)オリジナルの見解を含み、(ⅳ)自分のことばで適切に表現でき、(ⅴ)教員を感心させるレベルにあるかという観点から評価します。(ⅰ)から(ⅴ)の5項目を満たせば「卓越している」、4項目を満たせば「かなり上にある」、3項目であれば「やや上にある」、2項目であれば「水準にある」とします。 |
(7)事前事後学習の内容 | 各自の報告にあたって、事前の情報収集や文献調査が必要です。また、休日や休暇を利用して、自分たちで現地を見学してくるフットワークを歓迎します。 |
(8)履修上の注意 | 受講希望者が超過した場合、履修抽選システムにより抽選を行うことがあります。 |
(9)質問,相談への対応 | 授業時間後に質問や相談に応じます。また、研究室を直接訪ねてもらって構いません。研究室は共通教育第1講義棟の北校舎4階です。メールで日時を相談してください。メールアドレスはkanazawa@(以下は大学から付与されるメールアドレスと同じ)です。 |
(10)授業への出席 | 全ての回に出席することを前提としています。 |
(11)授業に出席できない場合の学修の補充 | 「学修の補充の対象とする事由」により授業の出席できない場合は、共通教育履修案内に掲載されている方法により学修の補充を受けるための申請を行ってください。 |
【教科書】 | 指定しない |
【参考書】 | ・鶴見良行 1982. 『バナナと日本人: フィリピン農園と食卓のあいだ』岩波書店 ・鶴見良行 1999. 『エビの向こうにアジアが見える』学陽書房 ・鶴見良行・宮内泰介 1996. 『ヤシの実のアジア学』コモンズ ・村井吉敬・鶴見良行 1992. 『エビの向こうにアジアが見える』学陽書房 ・宮内泰介・藤川泰 2013. 『かつお節と日本人』岩波書店 ・村井吉敬 1988.『エビと日本人』岩波書店 ・村井吉敬 2007.『エビと日本人Ⅱ: 暮らしのなかのグローバル化』岩波書店 ・藤川賢・友澤悠季編『講座シリーズ環境社会学第1巻』新泉社所収 金沢謙太郎「熱帯材と日本人: 熱帯雨林を踏み続けて」 ・池谷和信編 2019. 『地球環境史からの問い: ヒトと自然の共生とは何か』岩波書店所収 金沢謙太郎「熱帯雨林と文化: 沈香はどこから来てどこへ行くのか」 ・小川幸司編 2021. 『岩波講座 世界歴史1: 世界史とは何か』岩波書店所収 金沢謙太郎「環境社会学の視点からみる世界史: 先住者の生活戦略から探る持続可能な社会」 ・環境社会学会編『環境社会学事典』丸善出版 |
【添付ファイル】 |
なし |