(1)授業の達成目標 | 授業で得られる「学位授与の方針」要素 | ⇔ | 【授業の達成目標】 | 大学DP | 学士の称号にふさわしい基礎学力と専門的学力 | ⇔ | 世界および日本で進められているエネルギー転換の動向をふまえ、環境問題解決過程の担い手となるための視座を獲得することができるようになる。 |
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(2)授業の概要 | 地球社会を持続可能なものとしていくには、環境問題を個人と社会システム双方のレベルにおいて正面から受け止め、その解決がはかられなければならない。とりわけエネルギー選択の有り様とその転換の要請は、「脱炭素社会」を実現するための主要な争点となっている。 前半部では、環境問題とエネルギー問題の社会史を通史的に振り返った上で、講義および映像や文献資料を通じて環境エネルギー政策の基本問題群について把握する。次に、エネルギー転換とそのための政策形成と政策実施過程の諸相を、地域に力点を置いて実践的に把握する。後半部では、地域に根ざした環境エネルギー政策のあり方を具現化するための社会イノベーションについて把握する。 各回を通じて、適宜、映像など視聴覚資料を用いて具体的な理解を促すとともに、途中で複数回、グループディスカッションやグループ学習、プレゼンテーションの機会を設け、現在進行形の社会的課題を取り上げるに相応しいアクティブラーニング的要素を盛り込む。 国際レベル、国、そして地方のレベルにおける環境エネルギー政策について把握することを通じて、受講者が将来、生活者・市民・企業人・行政・専門家など、それぞれの立場で、環境問題解決過程の担い手となるための視座を獲得する。 |
(3)授業のキーワード | 環境問題、脱炭素社会、エネルギー政策、再生可能エネルギー、社会イノベーション |
(4)授業計画 | 第1回 イントロダクション:講義のねらいと問題設定、導入的論点の提示 第2回 環境の危機とエネルギー転換の要請[①小レポート] 第3回 資料映像視聴「エネルギー消費社会」[②小レポート] 第4回 日本のエネルギー政策史[③小テスト] 第5回 エネルギー政策と地域社会:資料映像視聴とグループ学習 第6回 グループ報告:各エネルギー源の利点と難点 第7回 世界と日本のエネルギー転換政策[④小レポート] 第8回 グループ討議:エネルギー政策決定のあり方 第9回 熟議民主主義/固定価格買取制度[⑤小テスト] 第10回 再生可能エネルギーの社会的受容性[⑥小テスト] 第11回 再エネ100%地域:デンマーク・ロラン島の事例 第12回 世界経済の動向とエネルギー転換[⑦小レポート] 第13回 グループディスカッション:地域に根ざした環境エネルギー政策 第14回 グループ学習・報告:地域に根ざした環境エネルギー事業 第15回 地域に根ざした再生可能エネルギー事業化の課題/最終レポートの説明/授業アンケート |
(5)成績評価の方法 | 授業期間中に課す小テスト・小レポート(60%)と、期末に課すレポート課題(40%)によって評価を行う。小テスト・小レポートは授業内容の理解度に関する10点満点のテスト・レポートを7回課す。レポート課題は授業内容をふまえて、具体の環境エネルギー政策について発展的な情報収集と考察を行う40点満点のレポートを課す。 |
(6)成績評価の基準 | 1)環境エネルギー政策の構成要素群とそれに対する多元的な価値の有り様や問題状況について適切な情報収集に基づく説明ができる。2)環境問題、エネルギー問題に即して情報収集力、理解力、発信力を身につける。 小テストやレポート課題において、これら能力の十分な涵養が認められれば「卓越している」と評価する。以上の項目のどちらかに卓越さが欠ける場合には「かなり上にある」、以上の項目の双方に妥当性が認められ、いずれかに秀でる点がある場合は「やや上にある」、総合的に妥当性が認められる場合は「その水準にある」と評価する。 |
(7)事前事後学習の内容 | 毎回の授業で、教科書の該当部分や参考資料や参考URLを示し、予習しておくべき内容を指示する。 また、各回の授業終了後には、使用した教材やパワーポイントが、eALPSで閲覧可能であるので、事後学習に活用されたい。
※この授業は90時間の学修を必要とする内容です。従って60時間以上の時間外学習が必要となります。 |
(8)履修上の注意 | 各回の授業の聴講、グループディスカッション・グループ学習への主体的参加は当然のこと、日ごろから社会問題や時事問題に対して積極的に情報収集を行うこと。 |
(9)質問,相談への対応 | 担当教員の研究室(人文学部)を訪れ、授業時間外に質問・相談を行うことができる。本講義に関する質問・相談は随時受けつけるが、授業終了時やメールで事前予約をいただきたい。メールでの質問・相談に対する返答も随時行うが、受講者全員に共有することが有益と判断される場合には、授業時間中に返答を行う場合もある。 メールアドレス:chino[at]shinshu-u.ac.jp |
(10)授業への出席 | 全ての回に出席することが前提です。 |
(11)授業に出席できない場合の学修の補充 | 「信州大学における授業の出席に関する要項」に沿って運営します。 |
【教科書】 | 茅野恒秀・青木聡子編『地域社会はエネルギーとどう向きあってきたのか』(シリーズ 環境社会学講座第2巻)新泉社.ISBN9784787723024 |
【参考書】 | 1)関礼子・原口弥生編『福島原発事故は人びとに何をもたらしたのか』(シリーズ 環境社会学講座第3巻)新泉社.ISBN9784787723031 2)今田高俊・寿楽浩太・中澤高師『核のごみをどうするか』岩波ジュニア新書.ISBN 9784005009671 3)小端拓郎編『都市の脱炭素化の実践』大河出版.ISBN 9784886618542 4)共生エネルギー社会実装研究所編『最新図説脱炭素の論点2023-202』旬報社.ISBN 9784845118137 5)諸富徹・藤野純一・稲垣憲治編著『ゼロカーボンシティ』学芸出版社.ISBN 9784761528591 6)松浦正浩『トランジション:社会の「あたりまえ」を変える方法』集英社インターナショナル.ISBN 9784797674330 7)駒村康平・諸富徹編著『環境・福祉政策が生み出す新しい経済』岩波書店.ISBN9784000223157 |
【添付ファイル】 |
なし |