| (1)授業の達成目標 | | 授業で得られる「学位授与の方針」要素 | ⇔ | 【授業の達成目標】 | | 大学DP | | 的確に情報を収集し,理解し,発信する力 | ⇔ | 時系列データ分析に関する数理の理解と,プログラミングによる実装力の両面をバランスよく獲得すること.また自分の知識を他者に分かりやすく説明する力を身に付けること. |
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| (2)授業の概要 | 時間情報の付随したデータを時系列データと呼びます.横軸に時間をとり,縦軸に例えば感染者数とか為替レートとかを表示するグラフはニュース等でよく目にすると思います.時系列データにおいては,過去から未来に向かってどういう順番でことが起こるのかが重要です.例えば日本人の身長を集計する時に,Aさんの身長の次にBさんの身長を計測しても,その逆でもどちらでも良いでしょう.しかし,今日が雨で明日が晴れなのか,今日が晴れで明日が雨なのかは重要な違いです.そのような事情で,時系列データに対しては特別なデータ分析手法が必要とされます.
原理的にはこの世界のほぼ全てのデータは時系列データであり,日常からビジネス・技術・科学の現場に至るまでその重要性は論を俟ちません.一方でその分析手法はその特殊性もあってか標準的な機械学習や統計モデリングの入門コースからは外れてしまいがちのようです.しかし時系列分析の手法を習得することで世の中の幅広いデータに対する見方を広げ,問題解決の手札を増やすことができます.数理的に厳密な理解をするのでなければ基本的なことは意外と簡単に学ぶことができ,また分析のためのソフトウェアは充実しています.このような恵まれた現代の環境を利用しない手は無く「まずは試してみよう」という態度で積極的に臨んでみること大事です.
このゼミでは,時系列データを対象に,そのデータ分析手法を皆で演習ながら学びます.まず時系列分析手法の数理的な仕組みを学び,さらにその手法をプログラミングして実際のデータを対象に使ってみることを体験します.プログラミング言語としてはAI・データサイエンスで良く利用されるPythonを用います.受講者のプログラミング経験は無いことを前提に進めますので初心者でも大丈夫です.
受講に際して,いわゆる文科系や理工系の区別はありません.予備知識として,数学IAIIB程度の簡単な高校数学は前提としますが,それらについて基本的な考え方が頭の片隅に残っていれば十分であり,難しい大学入試の問題をスラスラ解ける必要などまったくありません(具体的には「数と式」「二次関数」「数列」「微分・積分(数学II程度)」くらい.).寧ろこのゼミを通じて数学の必要性を感じ,今後,数理科学を学んでいくための動機を獲得して欲しいと思います. |
| (3)授業のキーワード | 時系列データ,データサイエンス,数理モデル,統計モデル,応用数学,役に立つ数学,文理融合,Python,プログラミング <演習形式の授業のキーワード>レポートのフィードバック |
| (4)授業計画 | ※以下の項目は,進度に応じて若干の順番や内容の変更が有り得ます.
第1回:数学的準備(微積分) 第2回:数学的準備(線型代数) 第3回:数学的準備(数理統計学と仮説検定の不適切な利用) 第3回:Python入門 第4回:Pythonのライブラリ利用 第5回:時系列データの記述統計 第6回:差分方程式・力学系・確率過程 第7回:ARモデルとMAモデル 第9回:ARMAモデル 第10回:ARIMAモデル 第11回:SARIMAモデル 第12回:SARIMAXモデル 第13回:単位根過程と見せかけの回帰 第14回:VARモデルとGranger因果性 第15回:インパルス応答と分散分解(と授業アンケート回答) |
| (5)成績評価の方法 | ゼミ内での発表,レポート(場合によっては小テスト)によって総合的に評価します. |
| (6)成績評価の基準 | 上記「成績評価の方法」に記載の得点に応じ,下記の基準によって成績を評価します。 ・90点以上:秀(卓越している) ・80点以上90点未満:優(かなり上にある) ・70点以上80点未満:良(やや上にある) ・60点以上70点未満:可(その水準にある) ・60点未満:不可 |
| (7)事前事後学習の内容 | 発表課題やデータ分析課題への取り組みが必要. |
| (8)履修上の注意 | データ分析の実習では,データ分析を実際に皆さんのパソコンで実行していただきますので,講義室でインターネットに接続可能な環境とノートパソコンがあることを前提にします. |
| (9)質問,相談への対応 | メールアドレス(k_ohtake"あっと"shinshu-u.ac.jp)までご連絡下さい. "あっと"を@に置き換えてください. |
| (10)授業への出席 | 出席を前提としますが,感染症罹患時の出席は厳に禁じます. 詳細は信州大学共通教育履修案内『出席・欠席について』に記載の規定に従います. |
| (11)授業に出席できない場合の学修の補充 | eALPS上で案内します. |
| 【教科書】 | 無し. |
| 【参考書】 | 本ゼミでは実際にプログラムを動かして学ぶことに重点を置きました. これは,例えば自動車とは何かを知らない者に内燃機関の仕組みから教えても意味が無く,まずはハンドルを持って運転させてみなければならないという(私の)思想からです.
初学者が最低限理解すべき理論も学びますが,本ゼミで扱うよりも高度な理論に興味のある学習者は例えば以下の本を参照してください. [1]はタイトルから経済分野以外の人が避けてしまいそうですが,実際には古典的分析手法について普遍的に大事なことが書いてあります.[2]は確率解析など,より高度な数理的基礎まで扱っています.[3]はこの分野の包括的な基本文献です.
[1] 沖本竜義, 経済・ファイナンスデータの計量時系列分析, ISBN-10:4254127928, 朝倉書店, 2010 [2] 田中勝人, 現代時系列分析, ISBN-10:4007303800, 岩波書店, 2006 [3] James D. Hamilton,Time Series Analysis,ISBN-10:0691042896,Princeton Univesity Press, 1994
本ゼミでは時系列予測に重点を置いています.時系列予測よりも信号処理の方面に興味があれば
[4] 井澤裕司, ビジュアルでわかる信号処理入門, ISBN-10:4297137690, 技術評論社, 2023 [5] 神永正博, Pythonで学ぶフーリエ解析と信号処理, ISBN-10:4339009377, コロナ社, 2020
などを参照すると良いでしょう.
その他,発展的学習に必要な文献を適宜紹介します. |
| 【添付ファイル】 |
なし |